取消訴訟の答弁書が届く(その1)
K:「小百合さん、被告から答弁書が届いたよ」
S:「ちょうど、答弁書を起案してるから、参考になるわ」
K:「オレも今から読むのだけど、
『本案前の答弁』なんかされてないよな?」
S:「ありますよ。『本案前の答弁』って」
K:「ええっ! ドキッとするねぇ
そんな答弁されないはずなんだけどなぁ」
・・・(二人で答弁書を読んでいます)・・・
S:「通知処分の取消と更正処分の取消の両方を求めることは
できないってことみたいですね」
K:「ああ、そうか。N法人の事件は、通知処分と更正処分の
両方があったからな。まあ、しょうがないな。
こちらとしてはどちらかの請求を認めてもらえばよいから、
とりあえず、そのまま両方の取消を求めておこう」
S:「え?それでいいんですか?」
K:「この部分の判断は、確立した判例がないから
裁判所が事案に応じて適切な判断してくれるはずだ」
S:「ところで、『本案前の答弁』ってなんですか」
K:「ありゃ、今頃そんなこと聞かれても、困るなあ
被告は、請求の原因に手続的なミスを発見しては
『原告の訴えを却下することを求める』という
答弁をするのさ
『本案前の答弁』は『本案前の申立て』とか
『本案前の抗弁』ともいうが、答弁書には『本案前の答弁』って
されることが多いかな?
そして、この『本案前の答弁』がされると
内容の審理に入ることなく、請求が却下されてしまうんだ」
S:「え? でも、訴状審査を通過して、被告のところまで
送達されているってことは、訴訟要件を満たしたって
ことじゃないのかしら」
K:「うん。本来は、原告の請求の趣旨が訴訟要件を
みたしているかどうかは、裁判所が職権で調査する事項だ。
だけど、当事者が主張しないとわからない場合もあるから
そういう場合は、被告側から『本案前の答弁』をして、
訴えの却下を求めるのさ」
S:「なるほど。租税訴訟ではよくあるのですか?」
(次回に続く)
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