棄却と却下
K:「小百合さん、『棄却』と『却下』の違いは理解したかい?」
S:「はい。判決の種類には2種類あって
1つは、判決が『却下』されるケース。
『訴訟判決』といって、訴訟要件をみたしていない場合に、
中身の審理に入る前の段階で訴えを不適当と
判断するものです。
もう一方は、判決が『棄却』または『認容』されるケース。
『本案判決』といって、請求の中身の審理をして、
判断をするものです。『一部認容』の場合もあります。
これ以外に、『事情判決』っていうのもあるのですが、
レアケースなので省略します
要は、門前払いされるか、請求の内容に入って
審理してもらえるか、ってところかしら」
K:「まあ、そんなところかな」
S:「そうすると、『棄却』と『却下』って、
原告側の主張が認められないという点では同じですが、
内容はずいぶん違いますね」
K:「そうだな、却下は門前払いだから、気をつけないと」
S:「でも、相談にいらっしゃる納税者や税理士の中には
使い分けてない方もいらっしゃいますね」
K:「そうだね。ちゃんと使い分けていると
法的なセンスのある方として、こちらの対応も
自然と慎重になるよな」
B:「コホン。木下先生、気持ちはわからないでもないですが
お客様には、常に誠実にお願いしますよ」
K:「わっ、所長、もちろん、誠実な対応に変わりないですが
言葉を選ぶ際に、慎重になるという程度ですよ」
S:「なんか、言い訳がましくない?」
B:「それより何より、『本案前の答弁』されて
却下されないことが重要ですよ
N法人の件は大丈夫ですか?」
S:「そうでしたね、被告は『却下』を求めてきましたもの」
K:「それは、更正の請求に対する通知処分と
更正処分と同時にされたからで、こちらとしては
どちらかの一方の訴えについて『本案判決』がされれば、
他方は『却下』でいいのさ」
S:「どうして、わかっていて、そんなメンドくさいことするの」
K:「最高裁による最終判断が示されていなくて、
解釈がわかれているからだよ」
B:「私も以前、そのことについて、所内で検討したことを
思い出しましたよ
今回のように、2つの処分について
適法に不服申立てを前置して、訴えた場合は
どちらか1つの請求が却下されてもいいですが、
どちらかが不適法な訴えになってしまったときは、
裁判所もどちらかで救えるものなら、
救おうと考えるのだろうね
行訴法の改正の影響もあるでしょうから、
納税者からの訴えの適法性は極力認める方向に
あるといいなと個人的には考えています」
S:「だったら、国側も、わかっていて『本案前の答弁』なんか
しなければいいのに・・・」
B:「そうはいっても、手続も法律ですし、
しかも手続に則っていない場合は門前払いになるのですから、
解釈の余地がないほうがいいのは当然です。
国側としてはいろいろな解釈が存在しているからといって
事案に応じて処分や主張を使い分けるわけには
いきませんからね。
統一見解があるほうが業務上好都合なのでしょう」
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