訴状の検討(その3)~関連請求
K:「どうだい?併合の訴えはできると思うかい?」
S:「ええと、木下先生はたしか、行訴法13条と
最高裁の決定がなんとかって、おっしゃっていたので、
行訴法13条(※1)を手掛りにしました
13条は、関連請求の移送について規定しているだけで
併合については何にも定めていません
関連請求については、N法人のケースは
13条の1-5号のどれにも当たらないから
問題となるのは6号と考えました」
K:「調べる手掛りとしては、まずは正解だな」
S:「それで、N法人の件が関連請求に当たるかですが
複数の処分に係る請求となるのは、2号か6号
でも、複数の事業年度の処分で一個の手続を構成する
わけではないから、2号には該当しない
そうすると、概括的な規定である6号に該当するか否かが
問題となると思われます」
K:「そうだね。本件が13条の関連請求に当たるかは
6号の解釈次第だ」
S:「6号には、広義・狭義の2つの見解(※2)があります
平成17年の最高裁決定以前は、同一人に対してされた
複数年にわたる所得税更正処分の各取消訴訟は6号には
当たらないという見解が多数説(※3)だったようです」
K:「そうだ。昨日もいったけど、最高裁決定は
『訴訟に係る各請求の基礎となる社会的事実が
一体として捉えられるべきものであって密接に関連し、
争点も同一である場合には、行政事件訴訟法13条6号所定の
関連請求に当たる』っていうんだ
これは、複数事業年度の処分にも当てはまるんじゃないか
と思うんだ」
S:「木下先生と同じことを、判タ(※3)に
書いていらっしゃる方がいましたよ(※4)
ほら、『行訴法の改正で、・・・審理の重複等を回避し
当事者の訴訟追行上の負担を軽減するという点を
重視すべき』で、『同一人に対する複数年の更正処分も
・・・肯定される』ですって」
K:「ホントだ☆ じゃあ、最高裁決定が従来の多数説と
異なる見解を採用したと考えてよさそうだな
とりあえず、今回は、これで出してみよう」
S:「あのー、関連請求かどうかの解釈については
わかりましたが、併合の訴えができるかどうかと
関連請求かどうかは、どう繋がるのですか?」
K:「はぁ? もう調べたんじゃないのか?
併合の訴えについては行訴法16条から19条だ
じゃあ、これは明日までの宿題だ」
S:「えー! また宿題ですか。。。聞くんじゃなかった!」
◎ ◎ ◎
※1【行政事件訴訟法13条が定める関連請求】
1当該処分又は裁決に関連する原状回復又は損害賠償の請求
2当該処分とともに一個の手続を構成する他の処分の取消しの
請求
3当該処分に係る裁決の取消しの請求
4当該裁決に係る処分の取消しの請求
5当該処分又は裁決の取消しを求める他の請求
6その他当該処分又は裁決の取消しと関連する請求
※2【行訴法13条6号の「関連する請求」の意義】
① 1号ないし5号に該当する場合に準ずる程度に当該取消訴訟と密接な関係があり、これと一括して処理するのが適当と認められるような請求であるとの見解
② ①に限らず、事実に関する争点が相当程度共通し、
かつ、各請求の基礎となる社会的事実が同一ないし
密接に関連するものも含まれるとする見解
従来、実務では、②の見解に立つ裁判例もありましたが、①の見解が多数説とされていました(南博方他編「条解行政事件訴訟法 第2版」弘文堂350-351頁(藤山雅行))。
※3「判タ」は「判例タイムズ」誌の略称です。
月2回発行で、毎回多くの裁判例を掲載するほか
評釈や論文も掲載しています。
裁判官が書かれているものも多いのでとても参考になります。
なお、こういう文献の調査をするのに便利な手引書は
いしかわまりこ先生の『リーガル・リサーチ』です。
最新は第3版(2008年5月)です。
文献調査については、またいつか、お話します。
※4福田千恵子「行政事件訴訟法13条6号所定の関連請求に
当たるとされた事例」判タ1215号284頁引用の
杉原則彦・法曹時報58巻2号655頁
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