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訴額と訴えの利益

S:「では続きまして、2番目の質問です。訴額はいくらでしょうか? 裁決書のどこにも記載が見当たりません」

K:「計算するんだよ。小百合さん、時間があったら、訴額を計算してくれるかい?」

S:「え? 訴額は自分で計算するんですか?」

K:「税理士のほうが数字は詳しいからね! 簡単に言えば、『増差額』ってやつだよ」

S:「なんだ、増差額だったのね。更正処分の通知書を見れば、すぐわかるわ」

K:「おっと、地方税や附帯税はいれないでくれよ。それに、争うのは処分全部ではないはずだ」

S:「あ、そうでしたね。処分には交際費認定とかもありましたものね。計算しないと数字はでませんね」

K:「よろしく頼むよ」

      ◎        ◎        ◎

訴額は簡単には取り消して欲しい税額相当額です。

税額計算は税理士の真骨頂ですから、これ、できないと問題ですね。

最近は自動計算ソフトがあって、修正申告もそれで対応できたりするから、税額まで計算するのって、税理士試験以来ってことになったり・・・

私が前に勤めていた事務所は、毎回地方税まで手計算した上で、 入力してたけど、今でもやってるかしら??

知り合いの税理士のセンセイも自分で計算したのより、コンピュータが正しかったって、悔しがってたし・・・

実際には訴額の計算は簡単なものばかりではなく、複雑なものもあります。

留保金課税がある場合や国外所得金額に増減があった場合など、面倒ですが、これは、単純に税額計算上の問題です。

訴額と関連して、「訴えの利益」があるか問題となる場合があります。

例えば、処分が重ねて行われた場合や税額が算定されない場合など、法解釈が問題になるケースや解釈が確定していないようなケースです。

ちょっと例を挙げてみましょう。

次の事例について、それぞれ、①取消しを求めることができる更正処分はどの更正処分でしょうか、②取消しを求めることができる税額はいくらでしょうか。

(例1)増額更正処分→増額更正処分(基本の「き」です。)

当初、税額1億円で申告した後、1.2億円の増額更正処分がされ、その後、1.5億円の増額再更正処分がされた場合

(例2)増額更正処分→減額再更正処分

当初、税額1億円で申告し、1.3億円に増額更正処分がされた後、今度は、1.2億円に減額更正処分がされた場合

(例3)更正の請求→増額更正処分

当初、税額1億円で申告したところ、誤りが見つかり、9千万円となる更正の請求をしたところ、これに対し、更正すべき理由がない旨の通知処分と1.2億円の増額更正処分がされた場合

(例4)繰越欠損金額を減少した処分を求めるもの

当初、繰越欠損金額3億円、納付すべき税額0円で申告した後、更正処分により、税額は0円のままであるが、繰越欠損金額が1億円となった場合

      ◎        ◎        ◎

≪回答を考える方へ≫

(例3)までは税務訴訟の実務書に載っています。

ご参考までに、私が参考にしている実務書を以下に挙げます。ここで取り上げた事例以外の事例も載っていますので、参考になると思います。

中尾巧 『税務訴訟入門 第3版』 商事法務(2007

大野重國・木下雅博・東亜由美 『租税訴訟実務講座 改訂版』 ぎょうせい(2005

泉徳治ほか司法研修所編『租税訴訟の審理について(改訂新版)』 法曹会(2002)

(例4)は解説を見たことがありません。実務上は(例4)だけでなく、解釈が分かれるケース、解釈に疑問を抱くケースにたびたび出会います。

次回以降の回答編では、そんな実務上の「?」も取り上げようと思います。

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