電話会議

最近では、事務所のお客様との会議も、
電話会議だったり、TV会議だったりします

デジタル人間になりきれない私としては
やっぱり会って話さないとどうも・・って思うのですが
TV
会議となるとほとんど実際にお会いしてるのと
変わらない感じです

どこのオフィスもそうでしょうか・・・?

でも、やはり機械ですから、たまにはいいけど
人間の温もりが欲しいときもあります

秋ですもの・・

B「コホン、事務所の会議で温もりはないでしょう!!」

S「わっ所長!頭の中のはずなのに・・・どうして?」

   ◎        ◎        ◎

さて、裁判所はどうかといいますと・・・

K「小百合さん、今日の期日は電話会議だから
準備よろしく」

S「準備って???」

K:「電話会議用の装置を電話にセットするんだ
いつも、まゆ嬢にやってもらっているから
頼んでおいてくれ」

S:「あら、ちょっと面白そうだから
私もセットを手伝ってみよっと」

・・・・・

S:「まゆ嬢、木下先生が電話会議の準備をしてくださいと
仰ってますが、私にも手伝わせてくださいな」

まゆ嬢:「準備といっても、会議セットをつなぐだけですから
   簡単なんですよ・・・会議室にもう準備してあります」

S:「さすが!ありがとう」

   ◎        ◎        ◎

そして、電話会議期日です。

書記官:「こちらは福島裁判所です。裁判長にかわりますので
しばらくおまちください」

裁判長:「裁判長のLです。私のほかに、W裁判官がおります

また、原告代理人のG先生とB先生が出廷しています」

K:「はい。こちらは、私木下と補佐人の小百合がおります」

裁判長:「それでは始めます
原告は1024日付の原告準備書面が提出されています
それから、さきほど、原告から甲第43号証と44号証が
提出されましたが、そちらには届いていますか」

K:「はい。午前中にいただきました」

裁判長:「原本の提出がありますが、これは、最終的にこちらに
いらしたときに確認をするということでいいですね」

K:「はい。結構です」

裁判長:「では,次回期日ですが、弁論続行で
次回も電話会議でよろしいですか」

・・・・・

   ◎        ◎        ◎

このように、遠隔地の場合には、電話会議で期日が進行し
できるところまでを電話会議で行い、
証拠調べの原本確認などは後日、通常の弁論期日で
まとめて行うこともあります

電話会議では、当事者双方が出頭する必要はありませんが
少なくとも当事者の一方は出頭する必要があります

また、担当者が数名いる場合は一部の担当者のみが
電話会議システムを利用することもできます

裁判員制度の導入で、裁判所のビジュアル化が
進んでいますから、近いうちに、
テレビ会議システムが導入されるかもしれませんね

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ラウンド法廷

今日は、千葉地裁です

千葉地裁は、新庁舎が完成し、きれいになりました

今日も弁論準備手続、木下先生は「ラウンド法廷」と
おっしゃってたけど、何かしら??

S:「今日も書記官室からですか?」

K:「うん、弁論準備だから、どこの部屋かわからないんだ」

木下先生、書記官室に入って、何やら確認しています

K:「じゃあ、法廷のほうへ行こう」

S:「ラウンド法廷ですか」

K:「たぶん、そうだよ」

S:「やったー、楽しみ!」

ラウンド法廷は、普通の法廷のように裁判官の席が
高くなっていません

入口も1ヵ所だったりします

1つの丸い(ラウンド)テーブルをほぼ3等分して
法廷と同じように,裁判官をはさむかたちで
原告と被告が着席します

弁論準備室よりは広く、弁論準備と弁論の両方に
利用できるようになっています

   ◎        ◎        ◎

S:「今日も、活発な議論ができましたね」

K:「ラウンド法廷のおかげかな」

S:「ところで、今日は第2回目の期日でしたが
今後、訴訟手続はどんな感じで進むのでしょう?」

K:「当分の間、弁論準備手続が続くと思うよ
ここで、争点・証拠の整理をして
複数ある場合もあるけど、争点が何で、

 当事者の主張している事実はどの証拠によって
確定できるかとか、証人尋問が必要かとか
整理していくわけだ」

S:「それが終ると判決?」

K:「気が早いなぁ。次が判決ということはないよ
弁論準備で、証人尋問が必要となれば、
尋問期日となるし、尋問が行われない場合でも
最終口頭弁論期日といって、弁論準備手続を含む
弁論の終結を宣言して、判決言渡し期日を指定するんだ」

S:「そうすると、訴状の提出→訴状審査→送達
→第1回期日→争点・証拠整理手続→証人尋問
→最終口頭弁論→判決 という流れになるのね」

K:「ま、証人尋問は必要に応じてだけど
そんなところだ。訴訟をどう進めるかという訴訟指揮権は
裁判長にあるけれど,「計画審理」といって
当事者と進行を協議しながら決めていくんだ」

S:「じゃあ、突然、弁論終結して、判決とかならないのね」

K:「一応はそうだが、新たな主張や証拠が提出されるなら
別だけど、毎回同じ主張が繰り返されるなら、
裁判所も終結するよ。適切な時期に提出されない
「時機に遅れた」攻撃防御方法は、却下できるんだ」

S:「適時提出主義ですね。なかなか、厳しいわね」

K:「先手先手で、相手に熟考期間や有効な証拠収集を
させないうちに、判決もらうってのも
1つの訴訟戦略になり得るからな」

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弁論準備手続(その2)

ラウンド法廷も興味あるところですが,まずは
弁論準備手続について調べることにします

木下先生は民訴法168条以下と教えてくれました
たまには,条文を引いてみましょう

【民事訴訟法第168条】
「裁判所は,争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは,当事者の意見を聴いて,事件を弁論準備手続に付することができる」

弁論準備手続にするかどうかは裁判所が決めるのね

それに,準備手続は非公開って思ってたけど
裁判所が相当と認めるときは,傍聴もOKなのね

【民事訴訟法代1692項】
「裁判所は,相当と認める者の傍聴を許すことができる。」

しかも,ただし書きに,「当事者が申し出た者については,
手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き,
その傍聴を許さなければならない」とあるから
当事者が申し出れば,傍聴も許可されるわけね

関係者だったら,法廷の当事者席は入れないけど,
弁論準備室には入れそうね

そして,弁論準備手続でも準備書面の提出や
文書の証拠調べもできる(民訴法1701項及び2項)
ってことは,できないのは,証人尋問くらいかしら?

では,なんのために「口頭弁論」と「弁論準備手続」と
分けているのかしら?

それに、弁論準備手続と同様の整理手続として
「準備的口頭弁論」と「書面による準備手続」が
別に規定されているし・・・

    ◎       ◎      ◎

S:「あら,サンタ所長,ちょっと質問があるのですが」

B:「おや,何ですか?」

S:「今日は整理手続を勉強してたのですが
昨日の弁論準備手続以外にも準備的口頭弁論とか
いろいろあるんですね」

B「整理手続?ああ,争点整理手続のことですね
それに,準備的口頭弁論ですか?

そういう手続があることは知ってますけど,
あまり使われてないようですよ

争点整理手続でよく利用されるのは
弁論準備と遠隔地の場合の電話会議でしょう」


S:「そうなんですか。裁判所は使い勝手のよい手続を
選んでるのでしょうね

ところで,その『争点整理手続』って
どうして必要なんですか」

B「たとえば,当事者の主張・反論がかみ合ってないとか
どうでもいいような細かな事実まで争っていたりすると
裁判が長期化しますな

 つまり,紛争解決までに長期間かかるわけで,
裁判所のコストもかかるし,双方の当事者の利益にも
ならないことが多いのですよ」

S:「確かに,裁判が長期化することは,不利益のほうが
多そうですね」

B:「最近は,どこの裁判所でも迅速な審理が求められていますから
だいぶ早期解決が
図られてますが


税務訴訟は一審の判決を得るまでに
通常2-3年かかりますから
一般民事の訴訟に比べると
やはり長いですね」

S:「争点整理をするとどうして短くなるのですか」

B:「昨日の弁論準備手続の進め方のように,
当事者と裁判所が,間近で,率直な意見を交換することが
できますから,訴訟の行方に直接関係ないような争点を
外し,事案の真の争点を絞り込むことができます」

S:「確かに,どうでもよいところまで
逐一反論してくる相手方もいますからね

 もっとも,こちらもどうでもよいと思いつつ,
とりあえず反論したりしますけど・・・」

B:「ですから,争点が絞り込まれると,双方当事者が
その争点についての主張事実の根拠となる証拠を
明らかにして,議論したりできますからね


また,裁判所から証拠調べの対象を限定したりもできます」

S:「争点だけでなく,証拠も整理してるのですね」

B:「そうだね。だから,正確には民訴法の規定のとおり,
 『争点及び証拠の整理』の手続というべきなんでしょうな

 でも,弁論準備の一番のメリットは,裁判官や相手方と
直接話ができることですよ

書面だけでは伝えにくいニュアンスみたいなものも
伝わりますからね」

S:「でも,東京地裁の行政部で,弁論準備になったこと
ないですね」

B:「事件数が多いから,かえって時間がかかるのかもしれませんね
口頭弁論で争点整理をしていく裁判長もいらっしゃいますね」

S:「すべては,裁判所の訴訟指揮ということですね」

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弁論準備手続


補佐人税理士は、課税処分の取消しを求める租税訴訟が
大半を占めるので、法廷も2-3ヶ所に集中しており
迷うことはありません

ところが、今日は、木下先生がエレベータで
いつもと違う階を押しています

S:「あれ、木下先生、法廷は7階じゃなかったですか」

K:「今日は準備手続だから、書記官室にいくんだ」

裁判官や書記官の執務室は、部は主に12-14
高裁事部はぼ16
です

S:「準備手続って、いつもの期日と違うんですか」

K:「準備手続は、法廷ではなくて、弁論準備室でやるんだ」

S:「法廷の場合とどう違うの?」

K:「民事訴訟法168条以下だったと思うよ
 後で確認しておくといい」

弁論準備の期日では、裁判官も書記官も法服を着ていません
お部屋も狭くて、10人も入ったら、窮屈な感じです

裁判官も壇上ではなく、同じフロアの椅子に座りますから
近くで、お肌のスベスベ感や鼻毛まで?見える感じです

S:「弁論準備、百聞は一見にしかずって感じでした」

K:「あさっては千葉地裁だから、弁論準備も
ラウンド法廷でやると思うよ」

S:「ラウンド法廷???何?」

K:「ま、あさってのお楽しみってことで」

今日は東京地裁で期日です

東京地裁は、高裁と同じ建物の中にあります
法廷は4-8階にくさん並んでいて
裁判部や曜日によって、どの法廷を使うかが
決められています

地裁民事部の法廷は5-7階にしています
高裁民事部の法廷は7・8階に集中
しています

どこに行くのか、承知してないと迷ってしまいます
余裕をもって入ったつもりでも、
行く場所がわからなくて、事務所に電話して
確認したこともありました

東京地裁に裁判部はたくさんありますが

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地方出張(税賠)

今日はP先生の事件で、地方出張でした

S:「たまには地方出張もいいですね」

K:「そうですね」

B:「私はなんといっても食べ物が、おいしいとこがいいですね」

S:「地方には名所もありますし、地酒もおいしいし・・・」

K:「こらっ、観光に行くわけじゃないんだからな」

B:「少しくらいは大目にみてもらいましょう
往復の時間も使い方次第で、有効活用できますよ」

S:「のんびり寝るもよし、書面を読むもよし」

K:「本を読むもよし、酒を飲むもよし」

S:「え?木下先生、行きからお酒、飲んでたの?」

K:「まさか!そんなことしないよ
だけど、帰りはいいだろ?今日は事務所にも戻れないし」

S:「ところで、P先生の件ね、最初にうかがったのと
ちょっと話が違いましたね」

B:「小百合さんもそう思いましたか?」

K:「なんか、辻褄あわせしようとしてる感じだったな」

S:「ちょっと、担当する元気なくなっちゃった」

B:「それは困りますね。どうしてですか?」

S:「理由は、オカシイのはオカシイからです」

K:「はぁ?小百合君も法律事務所の一員なんだし
もう少し理論的に説明してくれよ」

S:「だって、法令やその解釈が最も重要で、
裁判所もそれに基づいてしか判断できないことは、
わかりますが、それ以前に、
これはどう考えてもオカシイというご相談や事件に
あたることがあるでしょ」

B:「うーん。意味がよくわかりませんが・・・」

K:「たとえば、条文どおりだと、
どうしても税理士に過失ありにならないけど
だからといって、多額の損害賠償を支払わないで
済むと納税者には酷なケースなんかを
想像すればよいのかな?」

S:「そんな感じです!」

B:「過失なしでは、賠償義務は生じませんからね
それに、過失ありとなっても、損害額や
損失との因果関係が別途問題になりますね」

K:「だから、一般民事事件では、あとあとのことも考えてか
和解をすすめられることが多いよ
だけど、これが、国相手の取消訴訟だと
和解もないし、難しいな」

S:「ふーん」

B:「私は以前、取消訴訟でも、裁判所から和解を
すすめられたことがありますよ
残念ながら、国側が応じませんでしたけどね

判決になったら、他の事案にも影響しますし
裁判官は法律に基づいて判断するわけですから、
自分の価値観や常識を判断基準にするわけには
いきませんが、事案から課税処分は
納税者に酷だと思って、和解をすすめたのでしょうな」

S:「地方出張の移動時間は、周りの乗客もいらっしゃるので
事件の具体的な内容はなかなか話せませんが、

裁判実務のあれこれや弁護士の思考過程など
いろんな話の中から仕事をする上での大切なヒントを
たくさん教えてもらえる貴重な時間です

 ありがとうございます」

K:「そんなこといって、小百合さん、この前
オレが喋ってる途中で、グーグー寝始めたじゃないか
全く、失礼なヤツ!」

S:「え?そんな失礼なことしました?
もう、忘れちゃいましたよ」

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第1回期日

1回期日は、被告の都合や予定に関わりなく
決定されるため、一般民事事件では、被告は都合が
つかなかったりして、出廷しない場合が多いのです。
被告が欠席しても、通常、訴えを提起した原告が、
自らの訴えを認めてもらうためにも、
必ず出廷しているので、欠席裁判とはならず、
期日が続行しますから被告は出廷する必要もないのです。

しかし、行政訴訟の場合は、第1回期日から
指定代理人が出廷しますので、裁判所は予め双方の都合を
調整して、期日を指定しているようです。

1回の期日はほぼ例外なくこんな感じ↓です

  ◎          ◎          ◎

≪取消訴訟の第1回期日≫

廷   吏:「平成21年行ウ第●号事件 原告●●さん
被告国」

裁 判 長:「それでは、原告は訴状、被告は答弁書を
それぞれ陳述しますね」

双方代理人:「はい、陳述します」

裁 判 長:「それから、証拠ですが、原告から、
甲第1号証から第7号証が提出されています
原本は甲4から6号証ですね」

原告代理人:「はい、こちらが原本です」

裁 判 長:「被告は乙第1号証から5号証まで、
いずれも写しですね」

被告代理人:「はい」

裁 判 長:「では、次回、被告が準備書面を準備して
いただくことでよろしいでしょうか

      提出はいつ頃になりますか」

被告代理人:「2ヶ月程度お願いします」

裁 判 長:「では、期日は112011時でいかがでしょうか」

原告代理人:「お受けいたします」

被告代理人:「差し支えです。午後でしたらお受けできます」

裁 判 長:「では、午後2時ではいかがでしょうか」

被告代理人:「お受けします」

裁 判 長:「原告もよろしいですか」

原告代理人:「はい」

裁 判 長:「そうしましたら、112014時で
被告準備書面はその1週間前に提出してください

      本日はこれで終ります」

  ◎          ◎          ◎

すでにご紹介したとおり、課税処分の取消訴訟では、
訴状の請求の趣旨と原因には、課税処分の取消しを
求める旨とその処分があったことや不服申立前置を
経たことなどが記載されているだけです

答弁書も請求の趣旨及び原因に対する認否程度ですので
本格的な主張は次の準備書面から始まります

そして、課税処分取消訴訟の立証責任は
処分をした行政庁、つまり、被告側にある()ので
裁判所も上記のように、まず被告側に書面を準備するよう
求めるのです

一般民事訴訟では、訴えた原告側から積極的に主張立証を
していくのが通常ですので、ちょっと異なります

もちろん、訴訟戦略として、租税訴訟でも原告側から
積極的に主張立証していってもかまいません

  ◎          ◎          ◎

(※)立証責任

 最高裁第三小法廷昭和3833日判決は、所得の存在及びその金額について法定庁(原処分庁)が立証責任を負うことはいうまでもないと判示しています。

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訴訟要件―訴状適格

K:「さて、訴訟要件の最後は『訴状適格』だ
 これはどんなことかな」

S:「訴状が適式に提出されているかってこと」

K:「まあそうだな。で、具体的には何をチェックする?」

S:「民訴法1321項に『訴えの提起は、訴状を裁判所に
提出してしなければならない』と規定され、2項で
訴状には、当事者及び法定代理人と
請求の趣旨及び原因を記載しなければならない』と
規定されています」

K:「当然だけど、訴状を提出しないことには、
何も始まらないってわけだ」

S:「そして、何でも出せばよいのではなくて
当事者等の『必要的記載事項』が記載されてないと
ダメってことね」

K:「こちらは、本人訴訟もあるから、
裁判長が訴状の補正を命じて、期間内に補正すれば
OK
になる。だけど、代理人がやると恥ずかしいな」

S:「ところで、先日、昔の訴訟記録を見ていたら
訴状がB4サイズ二つ折りで、縦書きだったんですけど
これは決まりがあるのですか」

K:「うーん・・・オレが修習生になったときは
もうA4横書きだったからなー」

B:「はは、木下先生は若いですからね
大昔は全部手書き、それが和文タイプになって
ワープロになって・・・いまではパソコン

 横書きになったのは、裁判所が判決を横書きにした
平成13年だったと思います」

K:「そういえば、日弁連で何か読んだような・・」

B:「余白とか、行数・文字数ですね
要は、裁判所が綴りやすく、読みやすいのが
一番ということです

 そういう点では、最近の木下先生の準備書面は
一般的な書面からすると、とてもカラフルですが
ポイントがわかって読みやすいですよ」

K:「ありがとうございます
裁判官ウケもいいといいですけど・・・」

S:「ふふふ、そうだといいですね
で、『訴訟要件』を満たした事件について
ようやく訴訟の審理が始まるのね」

K:「そう。来週はいよいよ、小百合さんに訴状を提出して
もらった取消訴訟の第1回期日だ」

B:「私も出廷しますから、よろしく頼みますよ
主任は、もう木下先生にお任せしますから
補佐人さんも頑張ってください」

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訴訟要件―訴えの利益

K:「さて、『訴えの利益』だけど、前(利益回答編)
しつこくやったから大丈夫だろう」

S:「そうですね」

B:「おやおや・・・そうはいっても実際に
訴訟をやっていると、いろいろ起こるんですよ」

S:「たとえば、どんなことですか」

B:「今、争っている事件ですが、更正の請求の後に
増額更正処分→理由がない旨の通知処分の順番で
処分がされたのです

 増額更正処分の理由には、更正の請求に関連する記載は
一切なかったので、顧問税理士は通知処分のほうだけ
不服申立てをしていました」

K:「裁判所が、更正処分吸収説か、後行処分吸収説か
どちらの吸収説をとるか、分かれてますからね」

B:「そのとおりです

更正処分吸収説(※)を採用する立場からは
増額更正処分を争わないといけない

 他方で、後行処分吸収説(※)を採用すると
通知処分を争わないといけないことになります

それで、私たちは提訴に際しては、
両方の処分の取消しを求めました」

S:「どうなったのですか」

B:「第一審判決も控訴審判決も、
不服申立てをした通知処分取消しの訴は却下して
増額更正処分のほうを棄却しました」

S:「え? 不服申立てしてない処分について
『訴えの利益』ありとしたってことですか」

B:「そう。ただ、もし、この事件で納税者が、
増額更正処分を受けた他の理由の部分についても
争ったとしたら、その部分は『不服申立前置』なしで
却下されると思いますよ

 また、通知処分について訴を提起していなかったら
結論は違うのかもしれない」

K:「『訴えの利益』といっても、結構、奥は深いって
感じだな」

B:「それに、今、お話している『訴えの利益』は
狭義の訴えの利益で、取消訴訟の場合は、
『手続要件』以外の『処分性』や『原告適格』も
含めて『広義の訴えの利益』という場合もありますよ」

S:「えーと、『出訴期間』や『不服申立前置』手続は
たぶん『手続要件』で、『広義の訴えの利益』が
『処分性』、『原告適格』と『狭義の訴えの利益』?」

K:「『処分性』はそもそも取り消すべき行政処分に
該当するかどうかということだ

 たとえば、国税当局が発するものには、処分以外の
通達とか、国税の督促とかあるけど、これらは
『処分性』がないとされている」

S:「『原告適格』は当事者適格のところで検討したけど」

K:「うん。個人や法人等で、訴訟当事者になれる資格は
認められても、つまり、『手続要件』は満たしていても、
その処分の取消しを求める資格があるのは誰かについては
『訴えの利益』の問題になるってことだ」

S:「そして、これらはみんな『訴訟要件』の1つってことね」

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訴訟要件―不服申立前置

K:「不服申立前置は簡単だろ」

S:「国税通則法ですね。実は、税理士試験の科目には
国税徴収法はあっても、通則法はないので
条文自体も行訴法との関係など意外と知らないことが
多いのですよ」

K:「ふーん、オレなんか、通則法が税務六法で
一番読む機会が多いかもしれない」

S:「基本中の基本ってことでしょうか
で、不服申立前置は1151項本文に
国税に関する法律に基づく処分で不服申立てが
できるものの取消しを求める訴えは、不服申立手続を
経た後でなければ、原則として提起することができない

と規定されています

そして、これを『不服申立前置主義』というの」

K:「そう、まるで、教科書みたいな回答だなー
ところで『不服申立て』と『不服申立前置主義』と
いうときの『』は使い分けてるのかい」

S:「へへん!もちろんです

 手続としての『申立て』は条文どおり『て』を
つけて、何かとあわせて使うときは『て』を
とります」

K:「よし、合格!」

S:「でも、国通は国税に関する規定ですよね
地方税はどうなるのかしら?」

K:「おいおい、困るなぁ
税務訴訟には、地方税も含まれてるんだぞ

 国通に該当する条文は地方税ではどこに
あるか知らないのかい」

S:「だって、地方税は全部まとめて地方税法ですもん
あっ、そうか、だから、総則だわ
地方税法の総則に規定があるはず・・・」

K:「そういうこと、地方税法(総則)19条の12
不服申立前置が規定されている」

S:「さすがーパチパチ」

K:「訴訟との関係では、関係ある条文は他には
19
条の11くらいだけど、不服申立手続では
国税の場合と微妙に異なるとこがあるから
総則は一度ちゃんと読んでおくといいぞ」

S:「了解、ふぅ、またやること増えちゃったー」

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訴訟要件―出訴期間

K:「では、次の『出訴期間』だ、『提訴期限』ともいうかな
これも大丈夫だよな?」

S:「はい。行訴法14条に『取消訴訟は、処分又は裁決が
あったことを知った日から6か月
を経過したときは
提起することができない』と規定されています」

K:「では、この場合の起算日は裁決があったことを
知った日、つまり、初日は算入されるのかな」

S:「以前の行訴法は起算日に不統一がありましたが
現在は、初日不算入に改正されました」

K:「お、よくわかってるなー」

S:「ここまではいいのですが、改正で加えられた
14
条各項のただし書きに『正当な理由があるときは
この限りでない』とあります

具体的に、どんなときに『正当な理由』って
認められるのかしら?」

K:「残念ながら、税務訴訟で正当な理由が認められた
裁判例は見たことがないんだ

税務訴訟以外の行政訴訟では認められたのが
若干あるだけだ(※1)」

S:「それに、税務訴訟の場合、『正当な理由』は
出訴期間だけじゃなくて、不服申立前置についても
よく争われますものね」

K:「おーそうだった
不服申立前置も税務訴訟では重要な訴訟要件

これも加えてくれ」

S:「うわっ、やぶ蛇・・・」

  ◎          ◎          ◎

本日の裁判例(※1)

東京地裁平成20年2月21日判決

出入国管理・難民認定に関する裁決について争われた事案で、「出訴期間を徒過することになったのは、法務大臣等が、同項の規定を正しく解釈せず、異議申立てに対する決定後の在留特別許可に関する判断を今後はしない旨運用を変更したことに原因があるから、原告妻には「正当な理由」がある」と判示しています。

東京地裁平成19420日判決

 東京社会保険事務局長がなした行政文書不開示決定につき、「原告は、その教示にしたがって第4次決定の審査請求をすることにより、不開示処分の取消しを求めることができるものと誤解したことがうかがわれ」るとして「正当な理由」を認めています。

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