裁判長の釈明権と閲覧
S:「今日の期日報告書ですが、裁判長は
所得区分についての争点の確認をされただけでしょうか?
該当条文を問題にしていたように聞こえましたが・・・」
K:「ん? オレは期日報告書に書いたとおり
所得区分の争点について、確認したのだと
思ったけど・・・今日はサンタ所長も出頭していたから
念のため、確認しよう」
S:「サンタ所長、木下先生の本日の期日報告書
ご覧になりましたか?」
B:「いや、まだですが、何か問題ですか?」
K:「本日の裁判長の釈明が、小百合さんの聞いた内容と
私が聞いた内容が微妙に食い違ってしまったので
ここは、サンタ所長にうかがってみようと思いまして」
B:「裁判長の釈明ですか。確か、条文の確認をされましたが
結局は、通達との関係を聞いていたのだと思いますよ」
S:「困りましたねー
3人とも微妙にニュアンスが違いますね」
K:「次回期日までに、回答しないといけないから
念のため、裁判所に記録閲覧に行ってきてくれ」
S:「閲覧?ですか」
K:「記録の閲覧に行ったことないか?」
S:「ないです」
K:「期日や弁論準備手続で行われた内容は
書記官さんが『第○回 口頭弁論調書』とか
『第○回 弁論準備手続調書』に記載して
記録が残されるんだ」
S:「ふーん。その調書には何が書かれてるの?」
K:「まずは事件名、調書名、弁論の場所、期日
裁判官名、書記官名、出頭した原告と被告だ」
S:「あー、会議録みたいな感じね」
K:「ま、そんなとこだ
それから、各当事者が法廷で陳述した準備書面や
次回予定も記載される」
S:「だから、調書を見れば、原告が次回期日で
何を主張することになっているかわかるのね」
K:「そういうこと。それに、期日で口頭で陳述したことも
必要に応じて調書に取られている」
S:「なるほど。あれ?証拠についても?」
K:「証拠も含まれるけど、『証拠関係別紙のとおり』と
されて、証拠群は別冊に綴られているな」
S:「書面は同じ綴りなの?」
K:「一緒だけど、調書が先にあるから、わかりやすいよ
調書は一定の形式で、作成した書記官が押印したものを
裁判官が確認して押印して、記録に綴じられるのさ」
S:「ところで、被告は、裁判長から釈明されたら
回答するけど、原告側が書面で釈明しても
無視したりするでしょ? どうして?」
K:「釈明権は裁判長だからな
裁判長の釈明には、その釈明に答える必要性も含め
何らかの回答をしないといけない」
S:「それで、原告が書面で釈明してるときは
木下先生は、期日で『この点について回答して
いただきたい』っていうのね」
K:「まぁ、どちらかというと裁判長の反応を見るのが
目的だけどな」
S:「つまり、裁判長も答えてもらいたいと思ってたら
原告の釈明を取り上げてくれるし、
どうでもいいと思ってたら、その点について
裁判所は重要と考えていないってことになるわけね」
K:「そうだな、でも、どちらかというとこちらに
釈明してくれるほうがありがたいけどな」
S:「なぜ?」
K:「それは、こちらの主張の不足分を補えってことだろ
だから、補えば請求が認められる可能性は高くなると
はずさ。 期待はずれなときもあるけどな」
S:「要は、裁判長が争点のどの点に興味を持ってるか
わかる場合があるってことね
そうすると、裁判長の発言は一言も聞き
漏らさないようにしないとですね」
◎ ◎ ◎
本日の関連条文など
民事訴訟法149条
裁判長は、口頭弁論期日等において、
当事者に対して釈明できます(1項)
当事者は、裁判長に対して釈明を求めることは
できますが(3項)、相手方にはできませんから
裁判長経由で釈明を求めるのです
民事訴訟法91条
訴訟記録の閲覧は誰でもできます
でも、謄写できるのは当事者と利害関係を疎明した
第三者だけです
裁判所法60条2項
書記官が事件記録の作成及び保管をします
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