資料を探す(文献―教科書編―)

S:「木下先生、お帰りなさいませ~
早速ですが、文献はどうやって探すのがいいのですか?」

K:「おいおい、帰ったばかりなんだから
お茶くらい飲ませろ!」

S:「でも、書面の期日も近づいてますし、急がないと・・・」

K:「お茶飲む時間くらいあるだろう・・・
で、文献か。まずは、租税法の教科書的な本だな」

S:「教科書的な本って、金子先生の租税法?」

K:「そうそう。この前、税理士さんたちのグループと
話していて、金子先生を知らない人がいたので
驚いたよ」

S:「ふふ。そうですか?
実は、私もサンタ事務所に入る直前まで
金子先生、知りませんでしたよ」

K:「えーっ、そうだったの?」

S:「そう。税理士試験でも実務でも、金子租税法は
不要だったのよ。税理士の受験勉強って
条文覚えて、計算するだけだから、条文以外の情報は
趣旨目的程度で、それも、いわゆる受験本には適当に
まとめられてるから、それ覚えるだけでしょ。

 実務は、通達とにらめっこして、わからないことは
税務署に聞くってやってれば、いらないのよ」

K:「めでたい仕事だなぁ
何事も起きなければっていう条件つきだな」

S:「まあ、そうかもしれないけど、
年間の訴訟件数からしても、そんなものよ

 だから、金子租税法暗記してるのは、木下先生みたいに
勉強好きで、営業の心配のない先生くらいよ」

K:「失礼なヤツ! 教えてやらねーぞ!」

S:「失言!取り消しますので、教えてくださいな
まずは、教科書的な本を探すのね。」

K:「金子先生のほかにも、学者が書いているものがあるし
租税法全部でなくても、所得税とかに特化してるのもある
最近はロースクールで租税法が教えられてるから
教科書的なものが増えたよ」

S:「教科書的な本って学者が書いたものだけですか」

K:「いや。実務家も書いているよ
金子先生の租税法には、巻末に参考文献があって
グルーピングして文献が掲載されているから
その辺から集めていくといいよ」

S:「教科書的な本だけでも、相当ありますねー」

K:「全部読む必要はないよ。体系的な理解はしてるはずだから
まずは、我々がやってる訴訟事件に関連するところだけ
目次や索引から追って見てけばいいんだ」

S:「はーい。とりあえず、集めるだけ集めてみま~す」

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資料を探す―裁判例(税務訴訟編)―

S:「木下先生、税務訴訟ばかり集めたデータベースは
TAINS
だけですか」

K:「そうだな。TAINSは、日本で最も古くWEB化された
データベースで、情報公開法に基づく情報など
貴重な資料も多く収録されているんだ」

S:「検索方法をマスターするといろいろ使えそうですね」

K:「ただ、TAINSは登録できる会員が税理士のほか
大学教授、租税訴訟学会所属の弁護士など限定されてるし
WEB
データベースだと、裁判所に提出する証拠としては
検証可能性が低いから、ちょっと地位は低いな」

S:「じゃあ、TKCのLEX DBはどうかしら?」

K:「うん。TKCのは、税務訴訟以外の判例や情報も多いし
誰でも登録すれば会員になれるらしいけど
WEB
データベースという点では、同じだな」

S:「紙のデータベースのほうが証拠力としては
強いってことかしら」

K:「他に収録されていなかったら、仕方ないし、
WEB
データベースでも裁判所のは、

裁判官が検証できるから証拠力の点でもOKだよ」

S:「紙ベースの税務訴訟の判例集というと・・・」

K:「昔は、国税庁編集の『税務訴訟資料』があったんだけど
これも最近は、毎年CD-ROMの発行に切り替わって
主要な図書館に配布されているよ
これを出力して、証拠として提出すればいいんだ

他に、公的機関が発行しているものとしては
税務専門ではないけど、行政事件全般を収録している
『行政事件裁判例集』(最高裁事務総局行政局)
『訟務月報』(法務省訟務局)があるな

どれも収録までに時間がかかるのが難点だけど」

S:「税務雑誌でも、判決の要旨や速報なら見かけるわね」

K:「T&A masterなどだと、判決文の全文が
掲載されていることも
あるよ」

S:「民間の判例雑誌に掲載されることはないの?」

K:「そんなことはないよ。きっと、雑誌によって
掲載基準が決まっているのだろうけど、判例時報や
判例タイムズに載ることもあるよ

 それに、これらの雑誌には、裁判に係わった裁判官や
調査官が解説している場合があるから
とても参考になるよ」

S:「そういう文献はどうやって探すのがいいのかしら?」

K:「いけねぇ!出掛ける時間だ!
じゃあ、その話はまた今度な」

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資料を探す―裁判例(一般編)―

S:「木下先生、被告が引用しているこの裁判例ですが
全文を読んでみたいのですが、どうやって探すのですか?」

K:「えーっ! 小百合さんは、裁判例の探し方も知らんのか」

S:「ちなみに読み方もねーちょっと不安」

K:「基本の「き」だぞ。まずは法律情報のデータベースだ
 事務所のパスワードはまゆ嬢に確認してくれ
 判決年月日や事件番号、検索ワードなどで探せるはずだ」

S:「それは、まゆ嬢に聞いて、もうやったんですよ
でもなかったんです」

K:「じゃあ、TAINS()は?」

S:「TAINSも探しました」

K:「そうか、準備書面に引用の文献が出てるはずだから
その文献を探すんだ。
事務所の書庫にもある程度あるし、なければ図書館だ」

S:「図書館って、おっしゃられてもいろいろあるのですが
 どこに行けばいいのですか」

K:「オレは弁護士会の図書館が近くて便利だからよく使うけど
図書館もいろいろあるから、探してみろよ」

S:「とりあえず、何でも揃ってそうな国会図書館かしら?」

K:「あー、確かに国会図書館は揃ってるけど、閉架式だから
メンドーだよ。図書館については、また次の機会に・・・」

   ◎        ◎        ◎

(※)TAINSは税務関連の裁判例等を収録しているデータベースです。


裁判例を掲載している資料やデータベースには、大きく分けて、次のようなものがあります。

            裁判所や行政機関が発行する判例集
            裁判所のWEBページ
            民間の出版社が発行する判例雑誌
            民間の会社が作成している判例データベース
            大学、団体、個人のWEBページ

それぞれ収録している裁判例の審級、分野、年代、収録までの時間、媒体などが異なります。

日本の各地で言渡されるすべての判決が収録されているわけではありません。

裁判所の判例委員会が掲載する判例を厳選して作成される裁判所の公式判例集は重要性が高いとされています。

問題は、収録され、発行されるまでに時間がかかることです。

③の民間の判例雑誌は、裁判所の判例集よりは収録がスピーディで、かつ、全審級の裁判例が収録対象となっています。ただし、掲載事項が省略されている場合もあります。

また、網羅性・検索容易性という点では、④のデータベースが最も優れています。こちらも裁判所の判例集ほどではありませんが、収録されるまでに時間がかかるため、最新の判例が探せない場合があります。かつてはCD-ROM配布だったので、時間がかかりましたが、最近は直接WEB検索できるので、以前に比べると、更新は早くなりました。

最新という点では、②の裁判所のWEBページがスピーディです。ただし、これは、最高裁と知財高裁の判決で、下級審の裁判例は地域の事情によってだいぶ差があります。

ごくまれに、旧憲法下の裁判例を検索する必要が生じますが、大審院の裁判例集も図書館で探すことになります。

(以上、参考文献は、いしかわまりこ先生他著の「リーガ・リサーチ第3版」(日本評論社)

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原告準備書面を準備する

K:「さて、N法人の第2回期日も終わって
被告の準備書面が陳述されたから
今度はこっち、原告側が主張・反論する番だ

 小百合さん、P先生事件で、認否はやったから
今度も、被告が処分の前提とした事実関係の部分と
更正処分の適法性の部分、被告の主張部分についての
認否を頼むよ」

S:「了解です!」

K:「でも、税賠と違って、相手が相手だから
認否もできるだけ細かく、慎重にやってくれよ」

S:「あんまり細かいの苦手なんですけどねー
それに、被告の書面ほとんど全部じゃないですか!」

K:「認否したあとで、反対のことをいうのは
裁判官の心証もよくないし
いろいろ辻褄があわなくなったりするから
気をつけてくれないと困るよ」

S:「はい、気をつけてやりま~す
で、木下先生は何をするのですか」

K:「あちゃ(>_<) こっちの主張だよ
今回、被告は、民法上の組合が前提で
争点も損益分配割合しかないような主張をしているから
争点から反論と主張をしないといかんのだ

だから、次回期日まで2ヶ月といっても
意外とやることは多いんだよ」

S:「そういえば、この前の期日のとき
別件で出頭してらした弁護士の先生は、
裁判長から、期日間で、被告の主張書面を受けて
すぐに原告の主張の書面を提出するっていわれて
OK
って、答えてましたよね」

K:「そうだったな。オレも驚いたよ」

S:「反論の書面を準備する期間が1ヶ月位しかなかった」

K:「まー何回目の期日かわからないけど、
結審しても勝てる自信がある弁護士か

一般民事の訴訟と同じように考えてる
税務訴訟を知らない弁護士か、どっちかだろうな」

S:「私には、後者に見えましたけど、違うかなー?」

K:「人は見た目で判断しちゃ、いかんよ

我々のように被告の主張を見てから
本格的な反論をするスタイルもあるけど

被告に主張させる前にガンガン主張して
裁判官の頭に刷り込んでしまう先生もいるからな」

S:「そうなんですか、いろいろですね」

K:「それから、これまでも集めていたけど
 こちらの主張に使えそうな文献や裁判例は
 引き続き、集めていってくれ」

S:「また、そんなにいろいろと・・・
とりあえず、認否の部分の準備書面ができたら
添付で送りますから、それからにしてください」

K:「そんなこといってると、2ヶ月あっても
時間なくなっちゃうぞ!

認否は1週間もあれば、できるだろう?
不明なとこや確認しないとわからないとこは
徐々に確認すればいいから」

S:「はい。わかりました。頑張ってみます」

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被告の準備書面が届く

K:「N法人の訴訟、国側の第1準備書面が届いたよ」

S:「いよいよ、本格的な主張の応酬となるわけですね」

K:「まあ、そうだな。国側の書面はいつも上手に
まとめてられていて、敵ながら、あっぱれというか
こっちが書面を書くときも参考になるよ」

S:「では、書面を読んでから、その辺のコツをうかがいますね」

K:「そうだな。打合せは、今後の方針のこともあるから
サンタ所長にも入ってもらおう」

 ◎          ◎          ◎ 

B:「木下先生、この事件は、事業体が民法上の組合か
それから、その損益分配割合が争点でしたね」

K:「そうです」

S:「第1準備書面は、裁決書の事実認定や判断を
ほぼそのままという内容でした」

K:「そうだな。まず、事実関係については
契約書の形式から組合契約といえるか、そして


その実態がその契約どおりになっているのかに分けて
反論する必要があると思うよ」

S:「この事業体の性質、ちょっと普通の民法上の組合と
異なっていますしね」

B:「おっと、小百合君、『普通の』とは、どういうことですか」

S:「え?」

K:「さすが所長、いいポイントです!
ちょっと話がそれるけど、被告の書面で『普通の』って
いう文言は、登場しないだろ」

S:「うーん、言われてみると、確かにそんな気がします」

K:「だけど、被告の書面でも『実務上』とか、『一般に』などは
結構よく登場するんだ」

B:「法的思考をするということは、たとえば、ABCの要件を
満たしているから『民法上の組合』に該当するというように
考えているということです

しかし、このABCの判断基準が曖昧だったり
明確になっていない場合には

今の小百合君のように、『普通の』といってみたり
被告も、『一般に』というかもしれません


さらに、そのABCすらよくわからないような場合には
被告は、『実務上』などといって、いかにも
当然のことであるような主張をするのですよ」

K:「だから、被告の書面に『実務上』とか『一般に』などの
表現があったら、要注意というわけだ」

S:「なるほど、今度から書面を読むときは
その辺に気をつけて、読むようにしますね」

・・・・・・

S:「それから、この書面、『・・・というべきである』とか
『・・・とみるほかない』っていう言葉が多いですね」

B:「小百合さん、また、話がそれますが
それもよいポイントですよ」

K:「そうです。この事件の損益分配割合に関する争点は
法律解釈がまだ定まっていない分野だろ

そこで、被告は、別の事件の裁判例や文献を引用して、
法律解釈を主張しているんだが


まだ、確定的な解釈とはいえないし、当てはめのところも、
裁判例や文献が対象としている事案と異なると


引用がそのまま、『本件に当てはまる』とまでは
断言できないようなときは、そういう表現になるのさ」

S:「そうすると、被告が断定的に主張しているところと
そうでないところを区別して読んでいくと
被告の主張の弱いところが見えてくるのですね」

B:「そうですね。いつもそういうわけではありませんが
たくさん読んでいると、わかるようになりますよ」

K:「まーこちらの書面についても同じことなんだけど、
そこは国だからなのか、結構正直にでているんだ」

S:「彼らは生真面目ですからね。面白いですね
今度から、注意して読むようにしてみます」

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専門家責任(税賠)

B:「小百合くん、また浮かない顔をしてますが・・・?」

S:「あ、サンタ所長、税理士の専門家責任って重いですね」

B:「おやおや、今頃気づいたのですか?
まぁリスクを理解してない先生、多いですけれど・・」

K:「訴えられて、ようやく気づく方もいます
それでは遅いんだけどな」

S:「確かに、私も会計事務所の勤務時代は、
考えたことなかったかも・・・です」

B:「それは、ある意味、幸運だったのですよ」

K:「税理士損害賠償請求の判例を研究したことはないかい?」

S:「勤務時代は、毎月の顧問業務に、決算業務、
さらには、相続税申告と、突然やってくる税務相談など
比較的忙しく業務をしていましたから」

K:「それでも、税務訴訟の裁判例は研究会とか
参加してたといってたじゃないか」

S:「でも、税賠の裁判例の研究会はなかったですよ」

B:「税理士のミス、専門用語では、義務違反は
申告や税務調査で、金額が容易に算定されますから
簡単に、賠償請求されやすいのですがね

 私も随分たくさん税理士側の代理人をやりましたよ」

K:「同じ損害賠償でも、税務署の職員の過失に対して
損害賠償を求める国賠は、過失が認められることは
ほとんどなくて棄却なのに比べるとずいぶん違いますね」

S:「そういえば、木下先生、この前ようやく国賠でも
国の過失を認めてもらえたとおっしゃってましたね」

K:「そうなんだよ。ただ、損害と相当因果関係なしで
請求自体は棄却されちゃったけどな」

S:「相当因果関係・・?」

B:「小百合くん、契約法の勉強にもなるから
どういう場合に、税理士の責任になるのか考えてごらん」

S:「契約法・・・ですか」

K:「ヒントは、税理士と関与先がどういう契約で
その契約によって、どういう義務が生じるのか
損害が生じているか、損害と義務との関係などを
考えるといいよ」

S:「木下先生、ヒントありがとうございます
ちょっと考えてみますね」

B:「木下先生、ヒント出しすぎですよ!
小百合くんも,そのくらいは一人で考えられるでしょう」

 ◎          ◎          ◎

(※)税理士賠償責任制度
このまま、小百合が税理士賠償責任を考えようと思いましたが、内田久美子弁護士が(財)大蔵財務協会の『税のしるべ』新聞に10月5から12回シリーズで連載をされていますので、とても参考になると思います。

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電話会議

最近では、事務所のお客様との会議も、
電話会議だったり、TV会議だったりします

デジタル人間になりきれない私としては
やっぱり会って話さないとどうも・・って思うのですが
TV
会議となるとほとんど実際にお会いしてるのと
変わらない感じです

どこのオフィスもそうでしょうか・・・?

でも、やはり機械ですから、たまにはいいけど
人間の温もりが欲しいときもあります

秋ですもの・・

B「コホン、事務所の会議で温もりはないでしょう!!」

S「わっ所長!頭の中のはずなのに・・・どうして?」

   ◎        ◎        ◎

さて、裁判所はどうかといいますと・・・

K「小百合さん、今日の期日は電話会議だから
準備よろしく」

S「準備って???」

K:「電話会議用の装置を電話にセットするんだ
いつも、まゆ嬢にやってもらっているから
頼んでおいてくれ」

S:「あら、ちょっと面白そうだから
私もセットを手伝ってみよっと」

・・・・・

S:「まゆ嬢、木下先生が電話会議の準備をしてくださいと
仰ってますが、私にも手伝わせてくださいな」

まゆ嬢:「準備といっても、会議セットをつなぐだけですから
   簡単なんですよ・・・会議室にもう準備してあります」

S:「さすが!ありがとう」

   ◎        ◎        ◎

そして、電話会議期日です。

書記官:「こちらは福島裁判所です。裁判長にかわりますので
しばらくおまちください」

裁判長:「裁判長のLです。私のほかに、W裁判官がおります

また、原告代理人のG先生とB先生が出廷しています」

K:「はい。こちらは、私木下と補佐人の小百合がおります」

裁判長:「それでは始めます
原告は1024日付の原告準備書面が提出されています
それから、さきほど、原告から甲第43号証と44号証が
提出されましたが、そちらには届いていますか」

K:「はい。午前中にいただきました」

裁判長:「原本の提出がありますが、これは、最終的にこちらに
いらしたときに確認をするということでいいですね」

K:「はい。結構です」

裁判長:「では,次回期日ですが、弁論続行で
次回も電話会議でよろしいですか」

・・・・・

   ◎        ◎        ◎

このように、遠隔地の場合には、電話会議で期日が進行し
できるところまでを電話会議で行い、
証拠調べの原本確認などは後日、通常の弁論期日で
まとめて行うこともあります

電話会議では、当事者双方が出頭する必要はありませんが
少なくとも当事者の一方は出頭する必要があります

また、担当者が数名いる場合は一部の担当者のみが
電話会議システムを利用することもできます

裁判員制度の導入で、裁判所のビジュアル化が
進んでいますから、近いうちに、
テレビ会議システムが導入されるかもしれませんね

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ラウンド法廷

今日は、千葉地裁です

千葉地裁は、新庁舎が完成し、きれいになりました

今日も弁論準備手続、木下先生は「ラウンド法廷」と
おっしゃってたけど、何かしら??

S:「今日も書記官室からですか?」

K:「うん、弁論準備だから、どこの部屋かわからないんだ」

木下先生、書記官室に入って、何やら確認しています

K:「じゃあ、法廷のほうへ行こう」

S:「ラウンド法廷ですか」

K:「たぶん、そうだよ」

S:「やったー、楽しみ!」

ラウンド法廷は、普通の法廷のように裁判官の席が
高くなっていません

入口も1ヵ所だったりします

1つの丸い(ラウンド)テーブルをほぼ3等分して
法廷と同じように,裁判官をはさむかたちで
原告と被告が着席します

弁論準備室よりは広く、弁論準備と弁論の両方に
利用できるようになっています

   ◎        ◎        ◎

S:「今日も、活発な議論ができましたね」

K:「ラウンド法廷のおかげかな」

S:「ところで、今日は第2回目の期日でしたが
今後、訴訟手続はどんな感じで進むのでしょう?」

K:「当分の間、弁論準備手続が続くと思うよ
ここで、争点・証拠の整理をして
複数ある場合もあるけど、争点が何で、

 当事者の主張している事実はどの証拠によって
確定できるかとか、証人尋問が必要かとか
整理していくわけだ」

S:「それが終ると判決?」

K:「気が早いなぁ。次が判決ということはないよ
弁論準備で、証人尋問が必要となれば、
尋問期日となるし、尋問が行われない場合でも
最終口頭弁論期日といって、弁論準備手続を含む
弁論の終結を宣言して、判決言渡し期日を指定するんだ」

S:「そうすると、訴状の提出→訴状審査→送達
→第1回期日→争点・証拠整理手続→証人尋問
→最終口頭弁論→判決 という流れになるのね」

K:「ま、証人尋問は必要に応じてだけど
そんなところだ。訴訟をどう進めるかという訴訟指揮権は
裁判長にあるけれど,「計画審理」といって
当事者と進行を協議しながら決めていくんだ」

S:「じゃあ、突然、弁論終結して、判決とかならないのね」

K:「一応はそうだが、新たな主張や証拠が提出されるなら
別だけど、毎回同じ主張が繰り返されるなら、
裁判所も終結するよ。適切な時期に提出されない
「時機に遅れた」攻撃防御方法は、却下できるんだ」

S:「適時提出主義ですね。なかなか、厳しいわね」

K:「先手先手で、相手に熟考期間や有効な証拠収集を
させないうちに、判決もらうってのも
1つの訴訟戦略になり得るからな」

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弁論準備手続(その2)

ラウンド法廷も興味あるところですが,まずは
弁論準備手続について調べることにします

木下先生は民訴法168条以下と教えてくれました
たまには,条文を引いてみましょう

【民事訴訟法第168条】
「裁判所は,争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは,当事者の意見を聴いて,事件を弁論準備手続に付することができる」

弁論準備手続にするかどうかは裁判所が決めるのね

それに,準備手続は非公開って思ってたけど
裁判所が相当と認めるときは,傍聴もOKなのね

【民事訴訟法代1692項】
「裁判所は,相当と認める者の傍聴を許すことができる。」

しかも,ただし書きに,「当事者が申し出た者については,
手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き,
その傍聴を許さなければならない」とあるから
当事者が申し出れば,傍聴も許可されるわけね

関係者だったら,法廷の当事者席は入れないけど,
弁論準備室には入れそうね

そして,弁論準備手続でも準備書面の提出や
文書の証拠調べもできる(民訴法1701項及び2項)
ってことは,できないのは,証人尋問くらいかしら?

では,なんのために「口頭弁論」と「弁論準備手続」と
分けているのかしら?

それに、弁論準備手続と同様の整理手続として
「準備的口頭弁論」と「書面による準備手続」が
別に規定されているし・・・

    ◎       ◎      ◎

S:「あら,サンタ所長,ちょっと質問があるのですが」

B:「おや,何ですか?」

S:「今日は整理手続を勉強してたのですが
昨日の弁論準備手続以外にも準備的口頭弁論とか
いろいろあるんですね」

B「整理手続?ああ,争点整理手続のことですね
それに,準備的口頭弁論ですか?

そういう手続があることは知ってますけど,
あまり使われてないようですよ

争点整理手続でよく利用されるのは
弁論準備と遠隔地の場合の電話会議でしょう」


S:「そうなんですか。裁判所は使い勝手のよい手続を
選んでるのでしょうね

ところで,その『争点整理手続』って
どうして必要なんですか」

B「たとえば,当事者の主張・反論がかみ合ってないとか
どうでもいいような細かな事実まで争っていたりすると
裁判が長期化しますな

 つまり,紛争解決までに長期間かかるわけで,
裁判所のコストもかかるし,双方の当事者の利益にも
ならないことが多いのですよ」

S:「確かに,裁判が長期化することは,不利益のほうが
多そうですね」

B:「最近は,どこの裁判所でも迅速な審理が求められていますから
だいぶ早期解決が
図られてますが


税務訴訟は一審の判決を得るまでに
通常2-3年かかりますから
一般民事の訴訟に比べると
やはり長いですね」

S:「争点整理をするとどうして短くなるのですか」

B:「昨日の弁論準備手続の進め方のように,
当事者と裁判所が,間近で,率直な意見を交換することが
できますから,訴訟の行方に直接関係ないような争点を
外し,事案の真の争点を絞り込むことができます」

S:「確かに,どうでもよいところまで
逐一反論してくる相手方もいますからね

 もっとも,こちらもどうでもよいと思いつつ,
とりあえず反論したりしますけど・・・」

B:「ですから,争点が絞り込まれると,双方当事者が
その争点についての主張事実の根拠となる証拠を
明らかにして,議論したりできますからね


また,裁判所から証拠調べの対象を限定したりもできます」

S:「争点だけでなく,証拠も整理してるのですね」

B:「そうだね。だから,正確には民訴法の規定のとおり,
 『争点及び証拠の整理』の手続というべきなんでしょうな

 でも,弁論準備の一番のメリットは,裁判官や相手方と
直接話ができることですよ

書面だけでは伝えにくいニュアンスみたいなものも
伝わりますからね」

S:「でも,東京地裁の行政部で,弁論準備になったこと
ないですね」

B:「事件数が多いから,かえって時間がかかるのかもしれませんね
口頭弁論で争点整理をしていく裁判長もいらっしゃいますね」

S:「すべては,裁判所の訴訟指揮ということですね」

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弁論準備手続


補佐人税理士は、課税処分の取消しを求める租税訴訟が
大半を占めるので、法廷も2-3ヶ所に集中しており
迷うことはありません

ところが、今日は、木下先生がエレベータで
いつもと違う階を押しています

S:「あれ、木下先生、法廷は7階じゃなかったですか」

K:「今日は準備手続だから、書記官室にいくんだ」

裁判官や書記官の執務室は、部は主に12-14
高裁事部はぼ16
です

S:「準備手続って、いつもの期日と違うんですか」

K:「準備手続は、法廷ではなくて、弁論準備室でやるんだ」

S:「法廷の場合とどう違うの?」

K:「民事訴訟法168条以下だったと思うよ
 後で確認しておくといい」

弁論準備の期日では、裁判官も書記官も法服を着ていません
お部屋も狭くて、10人も入ったら、窮屈な感じです

裁判官も壇上ではなく、同じフロアの椅子に座りますから
近くで、お肌のスベスベ感や鼻毛まで?見える感じです

S:「弁論準備、百聞は一見にしかずって感じでした」

K:「あさっては千葉地裁だから、弁論準備も
ラウンド法廷でやると思うよ」

S:「ラウンド法廷???何?」

K:「ま、あさってのお楽しみってことで」

今日は東京地裁で期日です

東京地裁は、高裁と同じ建物の中にあります
法廷は4-8階にくさん並んでいて
裁判部や曜日によって、どの法廷を使うかが
決められています

地裁民事部の法廷は5-7階にしています
高裁民事部の法廷は7・8階に集中
しています

どこに行くのか、承知してないと迷ってしまいます
余裕をもって入ったつもりでも、
行く場所がわからなくて、事務所に電話して
確認したこともありました

東京地裁に裁判部はたくさんありますが

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